フィクションと劇場型犯罪の世界

意外過ぎる劇場型犯罪の歴史

 今でこそ、劇場型犯罪とは特殊な手口を使ったりサイバー技術を利用したような事件であるとされる事が多く、特に法の抜け穴などを利用したものなどが多いが、その黎明期に関しては、そこまで手のこんだことをしているわけではない。そこに共通するのは、とにかく不気味であるということと、依然、事件が未解決のままであるということである。

 特に切り裂きジャックや、ゾディアックと言ったものに関しては非常に有名なので、殆どの方が知っているかと思うが一応、事件の概要についても詳しく紹介していく。

切り裂きジャック

 未解決事件であり、犯人不明の劇場型犯罪の代名詞としてあげられるのは、やはり「切り裂きジャック」が最も有名な人物だと思われる。特にこれは世界一有名な殺人鬼、世界一有名な未解決事件と言っても過言ではないものだと言えるだろう。また、犯行予告を新聞社に送りつけるなどといった、現代の劇場型犯罪の特徴とも言えるマスコミの利用といった大胆な行動でも知られており、劇場型犯罪の元祖とも呼ばれている。

 その犯行スタイルは売春婦のみをターゲットにして鋭利な刃物で切り裂くというものであり、臓器の摘出方法などから医療や解剖学に精通している人間が犯人だと推定されている。

 しかし、犯人に関しては、いまだに解明されておらず、その犯人像を見出すことは、一種のロマンとして扱われ、様々な物語のモチーフにもなっている。

特徴

 異名の切り裂きジャックだが、ジャックというのは、日本語で言うななしの権兵衛のような意味合いなので、切り裂き男という意味合いなのだと理解した方が正しいかと思われるが、実際には男性でなく、女性が犯人なのではないかという説もあり、その真実は依然闇の中である。犯人に関して言えば、「医療知識を持った人物」が有力であるとされ、医者などを中心に複数の人物が容疑者として上がっていたが、どても、決定打に欠けており現在も犯人は特定出来ないままとなっている。そのミステリアスさから様々な物語に登場していることと、ミステリ小説の見立て殺人といったものに影響を与えた可能性も示唆されている。

ゾディアック

 こちらも未解決事件であり、犯人不明の劇場型犯罪の中では有名だ。特にこれはイギリスの切り裂きジャック、アメリカのゾディアックと呼ばれるほどで、切り裂きジャックに並んで有名な犯罪者だとされている。異名のゾディアックに関しては本人が名乗ったものであり、意味は「黄道十二宮」を示すなぞめいた言葉となっている。

 この人物だが、連続殺人犯でありながら、非常に自己顕示欲が強く、犯行声明を警察や新聞社に送りつけるだけでは飽きたらず、トークショー番組において、声のみの出演を果たすなど、劇場型犯罪の典型とも言える行動を取っていたことで知られている。また、その度重なる警察に対しての挑発やマスコミへの過剰なアプローチなどから、推測するに、その人物は、余裕ではなく、目立つことを目的として犯行を行っている可能性も示唆されていたのである。1969年になってピタリと犯行や連絡がとまり、それ以降は模倣犯や、自分がゾディアックの息子だ、娘だと名乗り出る、自称ゾディアックの子供達を自称する人物がいくつかありまして社会問題となったが、実際はどれも眉唾ものだったとされている。

フィレンツェの怪物

 リア充爆発しろを地で行く恐ろしい殺人鬼がこのフィレンツェの怪物と呼ばれている、劇場型連続殺人犯である。犯人はイル・モストロ・ディ・フレンツェ(フィレンツェの怪物)もしくは単にイル・モストロ(英語に直すとザ・モンスターという位の意味)と呼ばれる事が多く、また年に一組のカップルを始末していたという、淡々と犯行を行っていくという事が特徴として語られており、通常この手の犯罪であれば、加速度的に犯罪のペースは短くなっている事が多いのだが、毎年忘れた頃に犯行がおこるということで、規則に忠実な不気味な殺人鬼として語られている。

特徴

 こちらも犯人は逮捕出来てはいないのだが、年一回のペースで、被害者を選定せずに、淡々と車にのったカップルを事務的に殺害していたという何とも気味の悪い殺人犯だ。

 犯行は大きく前期(1974年)と後期(1981年~1985年)にわかれているが、どちらも共通することは年に一回、相手を選ばずに淡々と仕事をこなすように殺人を行うというスタイルだというものだったという。

 1993年に農夫の男性が容疑者として捕まったのだが、犯行を否認した上、1998年2月22日に真偽が明らかになる前に亡くなっている。目立ったメディアへの行動は見られなかったものの、その手法自体は十分マスコミを駆り立てるのには十分なものだったと言えるだろう。

世界の歴史的な未解決事件は

 このように歴史に名を轟かせた異名を持つ犯罪者の中には、特異な犯行によるものと、自らのメディアへの働きかけによって、劇場型犯罪と化していく事が多く、特に新聞などといったマスメディアが発達してきた時期と、その符号は一致しているという事実がある。物によってはある種のロマンとして語られ、切り裂きジャックの場合は一種の観光名所ともなっているが、日本でも同じような事件が起こっては欲しくないものである。